仙台市泉区の歯医者 まつざき歯科医院の院長です。
TCH(Tooth Contacting Habit)は ”無意識に歯を接触させる癖”です。
顎関節症(がくかんせつしょう)や歯周病などのお口のトラブルや、肩こりや頭痛、全身の不調につながることが明らかになってきました。
口を閉じていれば ”上下の歯はくっついている”と思うかも知れませんが、普通は唇を閉じていても上下の歯は接触していません。
食事や会話の際にも歯が触れあうのは瞬間的なもので (個人差はありますが)24時間で数十分程度なのです。
ところが、食事や会話以外の時にも上下の歯が接触している人がいます。
上下の歯が接触しているだけで 口を閉じる筋肉は緊張状態になり それが長時間続くと 歯や口の筋肉、顎関節が押さえつけられて顎関節症になりやすいことが分かってきました。
この癖を持つ方は 真面目で完璧主義の”がんばり屋さん”が多いとか…
また、PC作業やスマホの下向きの姿勢は TCHが起こりやすい場面です。
TCHは 顎関節症に特有の症状ではなく、いつでも誰にでも起こりうるもので 自覚症状の無い予備軍はかなり多いと予想されています。
本来ならば 長時間歯が接触していれば”歯を離してリラックスする”ような指令が脳から送られますが、脳からの信号を無視し続けて作業に没頭すると リラックス反射が作動しなくなる状態となります。
弱い力でも長時間歯が接触していることが問題で 接触時間を短くすることが課題となります。
TCHの影響は人によって異なったパターンとして現れますが、例えば 歯には虫歯などの疾患が無いにも関わらず、仕事の後に食事を始めると歯が痛むようなケースがあります。
仕事中のTCHで歯が圧迫 → 歯を支える歯根膜(しこんまく)の血流が悪くなる → 食事で急に血流が戻る → 歯は過剰に敏感になる → 咬んだだけで痛みを感じる
といったプロセスです。
イメージとしては ”長時間正座をした後に足がしびれる”のと同じで 血流が安定すると歯の痛みもなくなります。
TCHが数十年と長期化すると 顎関節症、歯並びの乱れ、詰め物や被せモノが取れるなどトラブルは多岐に渡ります。
若いうちは大丈夫でも 加齢により口腔内の組織が弱まったりすると ダメージは深刻化する一方です。
TCHで一番大きな力が加わるのが (寿命の短い)奥歯なので TCHが無ければ奥歯を失う確率がずっと下がることとなり 8020運動に大きく寄与することができるのです。
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